【やる気】を出させる行動経済学が「雑誌ブルータス」の最新号コラムにあった
スポンサーリンク
平井堅似ドメジメ鬱ブロガーすみす♪です。
今日、最近買った「雑誌:BRUTUS(ブルータス)」を帰りの電車で読んでいたのです。
そうしたら、何気なく見た雑誌の後ろの方にある白黒の行動経済学のコラムに目が止まり、ちょっと読んでみたのです。
そしたら、
面白い。
そして、
初耳。
自分が鬱になってから心理学系の本はだいぶ読み漁ったと思っていたら、まだまだ知らないことがありました。
今日からでも使える人のやる気を出すヒントがそこにはあったので紹介します。
リスが車を作るお話
このコラムでは、リスが工場で1週間車を生産して、そのお給料にどんぐりを70個もらうというもの
うさぎ自動車
と
タヌキモーターズ
の2つの会社の求人を見て、リスたちは、どちらの会社で1週間働こうか迷います。
求人要項はどちらも、期間は1週間でどんぐり70個分のお給料が出ることは同じ。
そこでリスたちは、大手のタヌキモーターズで働くチームと、小さい会社だけど質がいいうさぎ自動車で働くチームに別れます。
それぞれ2つのチームに分かれたリスたちは1週間一生懸命働きます。
大手のタヌキモーターズの社長は朝礼で
「弱小のうさぎ自動車には絶対に負けたくない、1台でも多く生産するのだ!」
と話します。
それに対しうさぎ自動車の社長は、
「我が社は質が命です。一台一台丁寧に作ってください。」
と話します。
リスたちが1週間働いた結果
さて、同じどんぐり70個分のお給料で働いたリスたち。
2つのうちどちらの会社の方が1週間でより多くの車を作れたのでしょう?
朝礼ではタヌキモーターズの方が多く作りそうな雰囲気です。
おそらく、うさぎ自動車は質は良いですが、生産台数だとタヌキモーターズには負けていそうです。
生産台数が多かったのは...
なんと、うさぎ自動車の方が1週間で生産した台数が圧倒的に多く、タヌキモーターズは予定の8割にしか生産数が届きませんでした。
タヌキモーターズは1週間の出だしは好調でしたが、日が経つにつれ、徐々にリスたちの生産台数が落ちてきました。
一方うさぎ自動車は、初日の生産台数は少なかったものの、日が経つにつれどんどん生産台数を伸ばし、予想をはつかに上回る生産台数を記録しました。
もちろんどちらのリスたちも、1週間どんぐり70個というお給料は変わりません。
それなのにうさぎ自動車で働いたリス達の方がはるかに一生懸命に働き、より多くの車を生産しました。
なぜ2社の間にここまで違いが生まれたのだと思いますか?
2つの会社の違い
違いは、1週間で渡されるどんぐり70個の日当にありました。
タヌキモータースは70個のどんぐりを毎日10個ずつ均等に配分して渡していたのに対し、
うさぎ自動車は、70個のどんぐりを初日には7個、2日目には8個、9個、10個...
というように日が経つごとに1個ずつ増やしていったのです。
初日こそタヌキモータースでは10個もらえるところを、うさぎ自動車では7個しかどんぐりがもらえなかったのですが、日に日に増えていくそのお給料に、リスたちのモチベーションは下がることなく、むしろ大きくやる気が向上していったのです。
【上昇選好】と呼ばれる心理学に基づいている
私たちにはこの「だんだん良くなる方を好む」という心理傾向があります。
これを、行動経済学では「上昇選好」と言います。
うさぎ自動車は、この「上昇選好」という人間の心理傾向を上手く使ったのです。
働いていたリスたちは、この「上昇選好」の心理が働き、たとえ1週間にもらえるどんぐりの数が同じだったとしても、毎日同じ数をもらうよりも、最初は少ないけれど日に日に増えていく方が、より明日を楽しみに、仕事をするようになったというわけです。
【上昇選好】は日常生活に潜んでいる
この話を電車の中で読んだ僕は、すぐにこの間のバイトを思い出しました。
この間していたバイトは、実働8時間。
1時間休憩と15分休憩があり、8時間が自然と3分割されることになります。
僕はそのバイト先で働いた初日は、1→3→4時間
という時間割で働きました。
最初勤務を始めて1時間経ったらすぐに15分休憩があって、その後3時間働きお昼。
最後は4時間ぶっつづけで働かないといけない。という日でした。
それに対し2日目は時間割が変わって、4→3→1時間
という時間割で働きました。
勤務を始めてから4時間ぶっつづけなのできついですが、その後お昼休憩があり十分に休んだ上で3時間働き、ラストは1時間だけ働いて仕事終了。
という感じでした。
そうすると、1日の中でもこの人間心理の「だんだん良くなる方を好む」という「上昇選好」が働いたのか、バイト先の人と
「お、午前中乗り切れば午後から楽になりますね」
「ラストは1時間だからあっという間ですね」
なんて会話をしていて、バイトが終わりに近づくにつれて、だんだん身軽になっていくような、「よし、最後頑張るか」という気持ちが自然と湧いてきたのです。
でも、初日の方の1→3→4時間
という時間割で働いた時は、ラストの4時間があまりに長いので、最後の方はヘロヘロになってしまいました。
同じ8時間なのに、バイト後の精神的な疲れ具合が全く違ったのです。
「上昇選好」を日常に取り入れる
この上昇選好を日常生活で使うなら、例えば仕事をする時。
僕が初日と2日目の時間割で全く気分が違ったように、仕事をする時に自分である程度仕事をする時間が決められる人は、
4→3→1時間
という時間割で仕事をすると、やる気が下がらず、むしろやる気が上がっていく感覚で仕事ができます。
また、時間割以外にも、例えば
月曜日はご褒美にノンアルコールビール
水曜日はご褒美に発泡酒
金曜日は特大のご褒美で生ビール
という感じで、その日の仕事に対しての自分へのご褒美を、1週間の終わりに近づけていくにつれて上げていくのも良いでしょう。
別にいつも生ビールでも良いかもしれませんが、そこをあえて段階的にご褒美の質をアップさせることによってモチベーションが持続するのです。
女性だったら、
月曜日はご褒美に板チョコ
水曜日はご褒美にハーゲンダッツ
金曜日はご褒美に銀座コージコーナーのケーキ
という風にご褒美を上げていくのも良いでしょう。
とにかく、「だんだん良くなる」という風になっていれば時間を変えようが、ご褒美を変えようが、なにをしても良いのです。
ここら辺、自分なりに考えてみると面白いです。
日常生活でちょっと工夫してこの「上昇選好」を取り入れるだけで、毎日の質が全く変わったものになるかもしれません。
人はいつも希望を求めている
僕はこのコラムを読んで、人はいつも希望を求めて生きているのだなと感じました。
おそらく今生きている人間は、ほとんど全員が未来に対し何かしらの希望を持っているのでしょう。だから生きているのです。
もし、希望が全くなかったら死を選んでいると思います。
何かしら「今度あれしたいな」とか「いつかこうなりたい」という生き続けることによるメリット=希望があるからこそ人は生きているのです。
人生単位だとそれが自然とできている人が多いのですが、仕事や日常生活となるとなかなか忘れてしまいがちなことなのかもしれません。
人は「だんだん良くなる」ということに希望を見出し、生命力が溢れてくるならば、日常生活にも取り入れない手はありません。
毎日に、「だんだん良くなる」という小さな希望を1つでも取り入れていけば、その日の気分は全く違ったものになるでしょう。
雑誌ブルータス最新号
という感じで、このコラムが載っていた「雑誌BRUTUS(ブルータス)」最新11月号は現在発売中です。
もともと僕はアート特集でそれ見たさに買いましたが、予想外の面白さがこの雑誌にはありました。
買って大正解。
もちろん、アート特集も素晴らしかったので「アート」「行動経済学」という2つのワードにピンと来る方はオススメ。